エネルギー環境教育支援プログラム
静岡県 常葉学園大学教育学部セミナー

小学3年からエネルギー教育を始めよう!
“電気の流れ”を意識した模擬授業

2011年8月24日(水)、静岡県にある常葉学園大学で、教職課程を履修している教育学部の2~4年生と現役の若手教員の方々を対象に、筑波大学附属小学校教官・鷲見辰美先生とNPO法人企業教育研究会事務局長・市野敬介さんによる、2例のエネルギー環境教育の模擬授業が行われました。

電気への苦手意識をなくそう!
長年にわたる教員養成機関としての実績から「教育の常葉」とうたわれる常葉学園大学。学生たちは国語、社会、算数、理科、音楽と、それぞれの専攻のもと、日々教員を目指すための勉強をしています。そんな学生たちに向けて、本日第一時限に実施した授業テーマは“理科の電気単元に対する苦手意識をなくすこと”です。
最初に鷲見先生が「電気に苦手意識がある人はいますか?」と問いかけると、たくさんの手が挙がりました。「電気は目に見えないし、こわいイメージだし、ワケがわからない(笑)。」大人になって“電気は苦手”という人の根源をたどると、だいたい5年生の電磁石を学ぶ単元でつまずいています。そのまま中学でオームの法則、電圧、抵抗、電磁ルートなどが出てくると、本当にわからなくなる。こうして、電気がきらいになっていきます」。

“電気が苦手”にならないためには「小学3年ごろから、いかに電気の流れを意識した授業をしていくか」がカギだという先生。「今日のセミナーは、電気の流れを意識し、さらに節電についても学ぶことができるエネルギー授業。教育現場ですぐに実践できるヒントがたくさん詰まっています。みなさんもこれを機会に、電気への苦手意識をなくしてくれるとうれしいですね」

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教員を目指す学生たちに模擬授業をする、筑波大学附属小学校教官の鷲見先生

実験前の予想が、子どもたちの意欲につながる
「豆電球とLEDと電磁石、それぞれに乾電池2個をつないだとき、どれだけの電気が流れるか?」
今回の授業プログラムは、大人を対象にしているため、子どものためのバージョンよりもレベルが高いものになっています。「小学校の授業では“流れる電流の大きさにちがいはあるかな?”とするなど、学年に合わせた工夫を」と先生はアドバイスします。
実験前に、まず「予想」から始めます。「予想の意味は2つ。一つ目は、子どもたちに“この先はどうなる?”と見通しを持たせること。二つ目は、自分の立場や条件を明確にして、意欲的にさせること」。鷲見先生の話に、学生たちは深く頷きます。
「乾電池2個だから電圧は3V。豆電球をつないだら1.5Aぐらいになりそう。」
「LEDのほうが抵抗が少ないから、0.3Aぐらい?」
「電磁石は消費電力が大きい気がするから、0.5Aぐらいかな」
学生たちの予想を聞き、「抵抗、電圧、消費電力など、さすが大学生のみなさんは重要なキーワードを含んだ予想を立てますね。小学生向けの授業では、“豆電球を1とするとLEDは? 電磁石は?”と、大きさを順番で考えるのが、わかりやすい方法です」。
img手回し発電機を使って電気の手ごたえを確かめる学生たち

 


電気の手ごたえを試してみよう
それぞれが予想を立てたところで、さっそくグループごとに実験を開始。
実験1は【手回し発電機に豆電球、LED、電磁石をそれぞれつないで、手ごたえの大きさを試してみる】。
「あ、軽い軽い!」「電磁石はちょっと重たいかな」など、手回し発電機を回しながら、あちこちで声が上がります。手ごたえの大きさは、電磁石が大、豆電球が中、LEDが小。
「この体験によって電流の大きさの順番を改めて理解したところで、最初に考えた予想が変わっていくように授業をすすめましょう」と鷲見先生。
実験1を通してじっくり考えさせてから、実験2【乾電池を2個直列につなぎ、簡易検流計を通してそれぞれの電流の量を測定し、データをとる】に進みます。
「子どもたち向けの授業では、それぞれの班のデータが一目でわかるように、黒板に表を書いておくといいですね。こうすると、全体の傾向が見られます」

検流計の結果は、豆電球が0.3A、LEDが0.1A、電磁石が2~3Aぐらいでした。
「なぜ、こうなるのでしょう?」と問いかける鷲見先生。「小学生に抵抗という概念はありません。手回し発電機の手ごたえが重たいということは、たくさん電気が流れているということ。軽いものほど電気が少ない。みなさんの頭の中にはオームの法則があるから、抵抗と電圧と電流の関係を発想してしまい、混乱するけれど、かえって小学生のほうがシンプルに考えることができるんです」。
img簡易検流計を使って、豆電球、LED、電磁石の電流の大きさを測定します

家庭にある電化製品の消費電力を考える
電化製品を使うのに必要な電力「W(ワット)」は、電流×電圧で求められます。今回、乾電池2個の電圧は一定なので、電流の小さいLEDが省エネだといわれる理由がよくわかります。
そこで、実験3【実際の電化製品はどれぐらいの電力(ワット)が必要か確かめる】へ。
ワットメーター付きの電源タップにドライヤーをつなぎ、最初はクールの設定、次にホットの設定でそれぞれワット数を測定します。
さっそく試してみると、クール設定の場合は75W。それからホット設定に変えたところ、いきなりワット数が1200に跳ね上がって、学生たちはびっくり!
「クール設定の場合はモーターが回るだけだから75Wくらいしかありません。それが熱を出すために急激に1200Wまで上がるんです。電化製品はすべて100Vで統一されています。ドライヤーのホット設定時は1200Wと100Vだから、12Aもの電流が流れているんですね」と鷲見先生は解説します。

「たとえば、扇風機とドライヤーをコンセントにつないでおくだけで10Wの電気を使う。気がつかないうちに電気を無駄づかいしていることになりますね。小学生にも、日常生活につなげることで、電気のことがよく理解できるし、節電を考えるきっかけにもなる」という先生の言葉に、学生や先生方も熱心に耳を傾けます。
「小学3、4年のうちに“そこに電気が流れている”ということを意識させてほしい。そうすれば、大人になって電気が苦手という人かなり少なくなります。電気にはむずかしいイメージがありますが、実験をしたり、自分で確かめながら進めることで、おもしろく、楽しいものになるはず。ぜひ、みなさんもやってみてください」
imgワットメーター付き電源タップにドライヤーをつないで、実際の消費電力を調べます

指導案
小学校高学年向けエネルギー環境教育(理科)
ねらい ・直接見ることができない電気の流れを意識する。
・環境にやさしいエネルギー利用を考えるきっかけを作る
・日頃何気なく使っている電気についての興味を高める

 
■教師のはたらきかけ
□児童の学習活動
指導・留意点 デモ授業の様子
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■ 電池1個と豆電球、モーター、電磁石をつないだとき、流れる電流の大きさに違いはあるか?

□これまでの体験から、電流の大きさに違いがあるか、ある場合、どのように違いがあるか予想する。

□手回し発電機をつないで、手ごたえの違いを感じてみる。

・ほとんど同じだ。

・電磁石だけは、ちょっと違うな

・これまで使ってきたモーターと豆電球、電磁石を使うことで、これまでの体験をもとに考えることができるようにする。

 

 

・電磁石のかわりにLEDを使えば、4年生でも学習可能。

 

電気の苦手意識をなくそう!

実験前の予想が意欲につながる
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■実際に、簡易検流計を使って、流れる電気の大きさを測定してみよう。

□回路の中に簡易検流計をいれて、電池と豆電球、モーター、電磁石をつないだときの目盛りを測定する。

□分かったことをノートにまとめる。

・回路の中に簡易検流計をつなぐことを指導する。

・簡易検流計には、モーター、豆電球と電磁石測定で切り替えるスイッチがある。切り替えスイッチがある意味も考えることができるようにする。

電気の大きさを測ってみよう!
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■家庭の電化製品は、どれくらいの電気が流れているのか考えてみる。

□ワットメーター付き電源タップを用意できる場合は、ドライヤー、ラジカセ、テレビなどをつないで、実際の消費電力を測定してみる。

■家庭での電気の使われ方を意識して、節電を考えてみる。

・日常生活における電気の使用量に関心がもてるようにする。
 例1200Wの電化製品
  コンセントは100Vなので、
  12Aの電気が流れていると考え
ることができる。

・ワットメーター付き電源タップが無い場合、学校にある電化製品のワット数を調べる活動をする。

 

家庭の電化製品の消費電力を考える


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モデル授業案
 理科(2011年)
 理科(2010年)
 社会(2010年)
 総合(2010年)